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日本最高齢の現役指導者

東京ヨガセンター。

38年前、羽成孝先生が新宿御苑前につくられたヨガ教室です。羽成先生は今年で80歳。毎日 指導の現場に立つ現役指導者としては、おそらく日本で最高齢だと思います。

先日、その東京ヨガセンターで羽成先生の個人レッスンを受けてきました。伝統的ハタヨーガ、それも当初に日本に伝えられた形式でのハタヨーガです。

ファッションのように扱われている現在のヨガマーケットに背を向けて、ここで日々行われているヨガを本当に大切にしている紹介者Mさんのためにも、教室に関する詳しいインフォメーションは載せません。順序立てての文章にはならないかもしれませんが、印象に残ったことを列挙します。

そこは絨毯だけの一室。ヨガマットもプロップもありません。ひょっとして、そういうモノの存在すら羽成先生はご存知ないのかもしれません。ヨガウェアなんて論外。ヨガに特化したブランドが誕生する以前の世界です。思い返せば、私が18年前にヨガを習い始めた道場も、東京ヨガセンターと同じような環境でした(だから私はいまだにヨガマットというモノに興味が薄いのでしょう)。

「初心者を対象にした内容」でお願いしました。

マントラはありません。オーム、ナマステすら言いません。最初も最後も、きちんと正座して合掌して、丁寧に「お願いします」「ありがとうございました」と述べるだけです。

呼吸法も詳しい説明はナシ。鼻で呼吸するのか、口から吐くのか随時の指導があるだけです。ひとつのポーズをするごとに行う屍のポーズ中に自然に呼吸へと意識を向かわせます。

*マントラ、各種呼吸法、瞑想などは、中級者以上を対象にして別途の勉強会が設けられているようです。今でいうワークショップですね。初心者対象のアーサナ(体位法)クラスでは、敢えてそれらに詳しく言及することはありませんでした。

手足のパワムクタアーサナから始まり、仙骨神経叢、太陽神経叢と順々にフォーカスしていく基本ポーズたち。全体のポーズ数は少ないけれど、とても良く練り込まれています。

*この日は立位ポーズはありませんでした。少し回数を重ねていってから、はじめて立位ポーズを加えていくようです。
*ちなみに太陽礼拝は、毎早朝に希望者だけを集めて行っています。
*回数券の生徒は、先生から与えられたチャートの順番に沿って自主練習を行い、2−3人のお弟子さんが回遊してアジャストをします。このあたりはアシュタンガのマイソールと似ていますね。
*お弟子さんの殆どは男性です。クルタに身を包んだ姿は、昭和の「ヨガする人」のイメージそのものでした。

高齢とは思えないシッカリしたアジャストを受けました。グイグイではなくジワジワと。ホールドする部位が絶妙だったので、とても安定感をおぼえながらも、座位の背骨捻りのポーズでは最近にはなかったほど可動域を伸ばしてもらいました。

ほぼ全てのポーズに関して、一定の回数、一定のところに至ると、「肛門をしめる」「息をとめる」ことを指示されました。そのままの言葉です。バンダとかクンバカという専門用語は一切なし。

コブラ、バッタ、弓などで、両足の間を1mmも隙間がないよう、執拗なまでにピタリと揃えさせられたのは久しぶりでした。腰へのストレスに一瞬不安をおぼえましたが、先生のアプローチでは大きく反らせることは全く無し。むしろ反り過ぎを注意されました。それよりも、やはりココでも「肛門じめ」「息どめ」の大切さを何度も強調されてました。

ジャーヌシルシアーサナ(片足を曲げて頭を膝につける前屈)では大きく注意されました。ジャーヌとシルシの原意に忠実にあくまで膝を頭につけろと。足首の方までペタリと前屈を深めるのはダメなようです。これには苦労しました。どれだけセーブしても膝なんて近すぎる。思いっきり背骨を湾曲させて丸くなり、アゴをこれでもかと引いてもまだ無理。しかし、これは強烈な腹部じめ&喉じめを行うことになり、ナルホドと納得しました。

少ないポーズ数でしたが、アシュタンガでいえばセカンドに入るようなポーズも3つほどありました。学ぶべき順番、ポーズの難易度に対しての見解の違いは予想通り。

Heart Opening(胸を開く)、Hip Opening(股関節を開く)などという認識はなく、あくまで「背骨のストレッチ」と「脊髄にエネルギーを集めて流す」ことが印象に残りました。

今の私だから感じられたのかもしれません。5年前なら、10年前なら分からなかったかもしれませんが、羽成先生の指導を通して、背骨の中を走るエネルギーというものをビシバシに感じました。骨盤底のデリケートな部位もなんというか・・・ハッキリ書けませんが、非常に衝撃的な体感がありましたよ(笑)。指先や脳内にも変化をおぼえました。ハタヨーガの本来の目的ともいえるひとつひとつが「ああ、そうだった!」と響いてくる瞬間が何度も訪れ、実に貴重な体験をしました。

終了後も暫くはそうした体感が続き、その後も半日以上は何も飲みたくない、何も食べたくない、もう体の中はいっぱいに満たされている感じでした。

欧米で、特に米国でヨガが大流行し、誰もがヨガに親しめるよう、間口が良い意味で広まったと思います。生まれもった骨格が違う個々人が身体を壊すことなく安全に、美容のため、健康のため、ハッピーになるためにヨガを自由に楽しむ。
しかし、ヨガを日常レベルに引きずり下ろしながらも、一方では、ヒンズー教徒が行う儀式や、ヒンズー教徒が唱えるマントラなどといったミステリアスでエキゾチックな特殊部分だけはイイとこ取りして、より多くの人を魅惑させるツールとしてヨガマーケットを広めていったーーー私はこれを欧米人が作ったヨガブームの功罪だと思っています。だから、インドの神様に詳しくなり、多くのマントラを唱えられ、プージャの儀式を説明できるようになっても、自分の実家の宗派も知らない、先祖の墓参りにも行ったことがないetc.というアンバランスな人間がヨガスタジオに増えていくのです。

クンダリニーを覚醒させるために体位法を積み上げていくハタヨーガのメソッド。こうした観点から話をすれば、やはりヨガは特殊なものです。宗教とも切り離せません。他の健康法とは異なります。そこを十分に考慮して、ある一定レベルまで体位法の練習をした後に、さらに学びを深めていきたいと願う自覚ある人々に対して、ようやく初めて別途機会を設けて、瞑想やマントラや特別な浄化法を教えていく。本来はそうしたものだったのです。プラクティスを積んでスピリチュアルな感動をおぼえるなどという曖昧な横文字でオチをつけるのではなく、気が遠くなるような長い道程の修行を積み、その過程では様々な霊的体験(生き霊や悪霊といった怖いものも含む)を覚悟するキワモノの道だったのです。サンスクリット語だか英語だか分からないけど、なんだかスピリチュアルでオシャレ!なんてファクターがひとつもない(スミマセン)羽成先生のレッスンを受けて、あらためてそう思いました。

もちろん現在の私が採っているヨガのアプローチは違います。英語とサンスクリット語をバンバン入れて(笑)、誰もが楽しく健やかになれるよう、終わった後にとりあえず心身がスッキリ爽快になるようなクラスを目指しています。コブラや弓のポーズでは思いっきり両足の間を広げてもらいます。プロップも総動員してます。他のボディーワークのメソッドも相当多く取り入れています。ストイックな修行者ではなく、気軽に楽しむヨガ愛好者なのだからコレで大いに結構!と言い切れます。

でも、何か大切なモノを見落とさないよう、正気を失わないよう、チャラい流れに翻弄されないよう、これからも年に数回は羽成先生のような方の指導を受ける必要があるかもと感じています。

全米ヨガアライアンス系のようなヨガしか知らない人には、一度 羽成先生の地味だけど奥の深い骨太のレッスンを体験して欲しいと思います。

11月 2, 2009 ヨガ(あるいはヨガ的なもの) |

コメント

ご無沙汰してます。
シンプルなヨガ、基本にきちんと沿ったヨガのほうが、実は近代化されたヨガに慣れた私たちには難しいような気がします。
羽成先生のヨガ、すごく興味ありますが、きっと私にはとっても難しいことでしょう・・・・

そういえば、先日のヨガフェスのマーク・ウィットウェルさんのヨガも、ものすごくシンプルで、スピリチュアルな部分はまったくなく、しかもわかりやすいものでしたが、とってもパワフルでした。

そういうヨガに触れると、精神的にも肉体的にも、背筋がぴちっとするような気がします。

投稿: 泉 | 2009/11/02 6:51:05

読んでいてハタヨガが目的を持って作られた頃にタイムスリップして見学した気分でした!

専門家のACOさんが「衝撃的な体感受けた」って凄いなぁ、感性が磨かれていたので強く感じられたのかもしれませんが

ACOさんは既にご自分の素晴らしい世界を確立されておられるのに、更に学んで進化していく姿勢、尊敬しています

羽鳴成先生の息子さん?がご指導されておられた、テレビ番組の「ヨガでおはよう」昔見て真似して一緒にやっていました

投稿: Hiro | 2009/11/02 7:51:43

お久しぶりです。
感動したのでついついコメント書いてます。
またあとで読み返します。
きっと何度も読み返すと思います。

投稿: etzco | 2009/11/02 9:17:40

東京ヨガセンター。

実は私が生まれて初めて行ったヨガ教室なんです。

投稿: @yoga | 2009/11/02 19:06:42

泉さん、コメントありがとうございます。
羽成先生の指導はとてもシンプルで一貫してます。決して難しくないですよ。泉さんなら、きっとそのシンプルさに潜む奥深さを感じられると思います。

マーク・ウィットウェルさんのヨガ、私は受けたことありませんが、泉さんのコメントを読んで非常に興味がわいてきました。

投稿: ACO | 2009/11/02 20:13:21

Hiroさん、ハタヨガと仏教に造詣が深いHiroさんには、かなり心惹かれる教室・指導ではないでしょうか。

Hiroさんが書かれてるほど私は大したモンじゃありゃしませんが、それはそれは貴重な体験でした。

「ヨガでおはよう」私は観ていませんでした。
でもおそらく羽成先生ご自身では? 今でも80歳には見えないほどすこぶるお元気です。羽成先生の娘さんが国際結婚されていて、お婿さん(インド人)もお弟子さんとして教室で指導されてます。

投稿: ACO | 2009/11/02 20:18:52

etzcoさん、いや、そんなお恥ずかしい。読み返さなくてもイイですよ〜。ww

etzcoさん、いつもこーゆー内容に食いついてくれる。だから好きですよん♪

投稿: ACO | 2009/11/02 20:21:18

@yogaさん、ああ、そうだったんですか。
アナタなら別に驚かない(笑)。
サスガの目利き。そんな感じがします。
ナルホドね〜。そっか〜。人に歴史あり。

投稿: ACO | 2009/11/02 20:23:07

はじめまして。近々ACOさんにビンヤサの手ほどきを受けたいと思っているyukoubouです。羽成先生の話題が出たので、思わずコメントを。私もヨガのはじめての先生がこのかたでした。な、なんと、それは40年近く前、新宿御苑のセンターが始まって間もなくだったんですね。当時の先生は髪の毛ふさふさ、七三にわけていて、物腰柔らか、なんかヨガの先生というイメージではなかった。歌舞伎俳優みたいだった。いつも生徒が私一人だったのは、教室が暇だったわけではなく、個別指導だったから? なつかすぃ。ふだんはアイアンガーヨガとアシュタンガを練習。できないのに、動きのあるヨガにひかれている私目です。その節はよろしくお願いします。

投稿: yukoubou | 2009/11/03 0:43:04

yukoubouさん、チェックしていただき有難うございます!

40年近く前!? 本当に東京ヨガセンターが創設されて間もない頃に通われていたんですね。スゴい!
そして・・ということは、yukoubouさんのヨガ歴もそれだけ長いということ。ひゃぁ〜、大先輩です。おみそれしました!そんなyukoubouさんが私のレッスンだなんて、ダメです!(笑) 緊張しまくりでグダグダのインストになりそうです。

でも、嬉しいデス。こちらこそ、その節はよろしくお願いします。いつかお目にかかれる日を心待ちにしてます☆

投稿: ACO | 2009/11/03 22:01:32

この内容何度も読み返しました。私は、きっとこの先生の指導を受けるような資格は無いと思いますが、その指導を受けたACOさんの下でレッスンが出来るのが本当に幸せだと思いました。
いろいろな角度でそういう指導を受け、影響を受けたACOさんのクラスの中で、ACOさんから出る言葉になって現れてくると思います。それを楽しみにしています。

投稿: AKI | 2009/11/03 23:54:37

AKIさん、何度も読み返したなんて恐縮です。
資格なんてトンデモナイ。誰だって受けられるに決まってるじゃありませんか。むしろ先だってに体調を崩したAKIさんだからこそ、一度こうした強度の低い、動きは少ないけれど異なる角度から楽しむヨガを経験したら、必ずや心身に響くところがあると思うんだけどな〜。無理強いはしませんが。ww

>ACOさんから出る言葉になって現れてくる
ありがとうございます。AKIさんにお届けできるよう羽成先生から学んだことをじっくり咀嚼してみます。なにげにプレッシャーなんですけど。ww

投稿: ACO | 2009/11/04 1:30:33

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