こんな日にまた読みたくなった本。
『ヨガ・ボディ:ポーズ練習の起源』
マーク・シングルトン(著)
(この本をサントーシマ香ちゃんにもらった日のブログはコチラ)
もう何度読み直したことか。本当におもしろい!
丁寧な調査と冷静な分析によって、近代ハタヨガ(国際的英語圏ヨガ)の変遷が、かなり刺激的な史実と共に綴られている。「
道標」はどのように立てられ、どのように照らされていくのか考えさせられる。
変容しながら受け継がれていくものの「力」について考えさせられる。
誰もがそうした道の上に立っている。
その一部、その一歩、その一人。
光りは魔法のように降り注いではくれない。
ーー「訳者(喜多千草さん)のことば」より一部抜粋ーー
インドにおける近代ヨガの成立の過程は、存在しない可能性が高い古典を典拠にするなどして歴史的過去との架空の連続性を謳ったこと、独立するインドの愛国的国民を育成するための国民文化の象徴として創られ、体育にも取り入れられたことなどから、「創られた伝統」のひとつとして機能したと解釈出来ます。(中略)しかし、この本の素晴らしいところは、こうしたヨガの知られざる歴史をセンセーショナルに扱うのではなく、あくまでも知的に淡々と論証する一方で、こうした「伝統を創った」人びとが、インドの賢者のやり方に従って、過去の状態を維持することに拘泥せず、今日的な解釈を加えながら自分の会得したヨガを後世に伝えたのだと評価したところでしょう。そして、この本が明らかにしている事実を根拠に、近代ヨガのスタイルが古典的ヨガを正統に継承していないとして批判することも出来ることも、著者は充分に承知しながら、そうした読み方を導かないよう、非常に繊細に論を進めています。そのヨガへの温かいまなざしは、ポーズ練習も含めてヨガを自ら深めている著者ならではのものなのかもしれません。
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